漁師と造園家
先日、造園業の集まりで講演会へ参加しました。
講師の畠山重篤さんは、気仙沼で牡蠣の養殖を行っている漁師の方です。
小泉元総理の様な風貌で話し方も情熱的にプッシュ。
漁業と造園業のつながりって?
内容は、非常におもしろい!
畠山さんは、「美味しい牡蠣を養殖する」この目的のために、
肩書きなんて関係なく、今までの常識を打ち破り、ドンドン突き進んで行く。
探究者。
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畠山さんは、「二つの森を育てる」活動を行っています。
(1)山に広葉樹の森をつくる
戦後に大量の杉の植林が行われました。針葉樹林の良し悪しは様々ですが、ざっくり言うと、
良い点:杉は成長が早く真っ直ぐ伸びるので資材として◎
悪い点:土壌に栄養が行き届かず生態系が貧困になる
この悪い点が牡蠣の養殖に影響及ぼします。
山から流れる水に栄養素が少ないと、近海のプランクトンが減少するそうです。
プランクトンを主食とする牡蠣は、山、川に栄養がなければ・・・
それに、気づいた畠山さんは、土壌に保水力と栄養を与える落葉広葉樹の植林を始めたそうです。
牡蠣の養殖を行う漁師が緑林をする。「気づく」「行動する」。
感服です。
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(2)子供達の心に森をつくる
広葉樹の森をつくり養分を蓄えた水が川に流れても、途中の川に化学物質を含んだ排水が垂れ流されていたら元も子もなくなります。畠山さんは、山から海の間にある小学校の生徒達を漁場に招き社会科見学を実施しました。
子供たちに、新鮮な魚介類を食べてもらう。
→魚介類は川から流れる養分で育ったと説明する。
沖へ連れて行き子供達が住んでいる山の景色を海から見てもらう。
→山から染み出した水は街を通って海に流れることを景色で説明する。
味覚と視覚で説明。理屈なし。
家に帰った子供達は、
お父さんに農薬の量を減らすように言う。
お母さんに洗剤の量を減らすように言う。
素直な子供達は、素直な行動を取る。
子供の心に森をつくること。
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畠山さんは、20年前から「森をつくる」活動をしています。
樹木は育ち、子供達も育ちました。
「森をつくる」とは、どういうことなのか?
造園業はなんのために植樹するのか?
当たり前になっている行動を見直すことが、当たり前。
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