サクラの樹勢回復研修会。

昨年の12月にサクラの樹勢回復研修会を行いました。
樹勢回復とは、
弱っている樹木の要因を見つけ、
再活性させるための治療を行うことです。

樹勢回復を行う樹木は、
保育園のソメイヨシノ。
この木は、花期になると卒園者やその親達も見に来るというほどの人気。
保育園に関わった多くの人たちの思い出が詰まったシンボルツリー。

樹木の衰退には寿命もありますが、
大抵は何らかの外的要因があります。
この木の衰退の要因は、
7~8年前の造成工事時にサクラの根元に土が盛られこと。
本来あるべき地盤の位置より40cmも高くなっていた。
これを「深植え」といいます。
覆われた土が原因で、根に酸素が行き届かなくなり、
サクラは徐々に衰退していってしまった。

不生育の状態は目視だけでもたくさんあり、
・腐朽菌の発生
・腐植
・幹の空洞化
・樹皮欠損
・新芽の詰まり

対策は、

(1)活性のための剪定
(2)要因となった盛り土の撤去
(3)不生育の根の整理
(4)土壌改良

治療は1日がかりとなりました。

(写真:剪定作業)
通常の剪定ですと、樹形を整えていきますが、
樹勢回復では活性を目的とするので、
樹形は気にせずに樹木の生理に基づいた剪定を行います。

(写真:根の掘り出し)
表土はユンボで取り除き、
上根部分は傷つけずに掘り起こすために、
空圧で土を掘り起こすエアースコップを使います。

(写真左:根の整理)(写真右:不生育な根)
綺麗に根が掘り起こされ、
絡んだ根やボコボコした根を切って整理します。

(写真:土壌改良)
上根まわりの土に栄養剤・土壌改良剤を混ぜます。

(写真左:治療前)(写真右:治療完了)
治療完了。
枝には既に今年の芽がついているので、
今回の治療の効果が見えるのは来年の芽吹きになります。
要経過観測。

治療を通して、造園家が仕事をする意味を思う。
依頼主の「なんとか良くなって欲しい」という気持ちを背負っていること。
元気な芽をつけれるように、
サクラさんがんばって。

本研修では、樹木医の冨田先生にご指導いただき治療を行いました。
若い職人さんには視野が広がる良い経験になったと思います。
今後もマニアックな研修会を企画します。

※おまけ
枯れ枝の中に越冬中のクマバチが。ごめんよ。

神奈川県藤沢市の植木屋 蛭田造園

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